ばっすい5
しかし、ここまで身軽になったVTuberを待っているのは救いではない。彼らを待っているものは激しい競争だ。ニコニコ生放送やYouTubeライブを見てもらえばわかるが、普通の女や男がニコ生をやっていたところで、誰も見ない。サムネを見て、顔が気に入ったらもうちょっと見る、くらいだ。差別化の要請とは競争の含意でもある。なんとかして見てもらわないといけない。同時接続者数を稼がないといけない――後述するが、スーパーチャットによる商業化によって、視聴者数を確保することへの圧力はすさまじい。
より一層悪いことに、彼/彼女らは、大体においてかわいい/かっこいい/面白いアバターを与えられる。この点で、外見において差異を出すことは困難になる。
生放送に切り替え、キャラクターを削いでいったVTuberに待っているのは、より過激な内面、よりわくわくして、面白くて、変な内面の演者にならなければいけないというプレッシャーだ。