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しかし、再び男を疲労が襲う。そういえば何も口にしていない。その事に気づいた瞬間、喉の乾き、空腹による倦怠感や痺れが全身をかけめぐる。

久方ぶりに目にした黒以外の情報に脳が回転を始める。あれはなんだ。どこまで続いているんだ。男は視界に映った線をたどるようにまた歩きはじめた。

見上げた黒い空、いや天井と表現するべきか、ともかく見上げたそこには、男の視界をまっすぐ縦断するように一筋の線が浮かんでいた。

どれくらいの時間が経っただろうか。歩き疲れた男は、どさりとその場に座り込んだ。光のない空間を踏みしめた地面、地面と確認することもできないそれに腰をおろし、平衡感覚さえ麻痺したその視線で、上であろう空を見上げる。

男を追うものは、焦り、恐怖、そして疲労だった。

男はただひたすらに歩いた。出口があるならばと信じて歩くことで、辛うじて正気を保っていた。

「………ちっ…何の反応もありゃしねぇ」

いくら周りを見渡しても、広がる闇は果てしなく、音の輪郭さえ見当たらない。静寂に包まれた空間に焦りを覚え、滴り落ちた汗は足元から虚空へと姿を消した。

「くそっ…全くここはどこなんだ…」

突如表れたその空間にいつの間にか入り込んでしまった男は、幾ばくもの間暗闇をあるき続けていた・

「誰か…誰かいないのか…?」

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